ルナティック・ハイ
空にはオリオンの雄姿が輝く。
白い息を吐きながら僕は公園に向かった。
月が照らす道は銀色に輝く。
猫が塀の上で僕を見ている。
ニャーオ
ニャーオ
僕も猫に挨拶を返す。
夜の公園。
凍える噴水。
木々の影。
街灯に照らされた僕から、長い長い影が伸びる。
カヲル君が僕を待っている。
「シンジ君・・・・」
「ごめん、待った?」
僕がそう言うと、カヲル君は頚をふる。
「僕の方こそ、こんな夜中に呼びだして悪かったね。」
「ううん、そんなこと・・・」
本当は僕もカヲル君に逢いたかったんだ。
だから、TELがあったとき嬉しかった。
それに、夜中に公園で会うなんて何だか秘密めいていて
わくわくする。
「・・・・・見せたいものがあるんだ、」
カヲル君が僕の腕を掴んで、公園の奥へと向かってゆく。
公園は静かで、僕たちの足音がやけに大きく響いた。
真夜中の公園は、昼間の公園とは違って見える。
良く知っているはずなのに、まるで知らないところみたいだ。
カヲル君は公園の一番奥にある池まで来ると
池に掛かる橋を真ん中まで渡った。
「ほら、見てご覧、月が二つ、」
カヲル君が指し示した先には池に映る、月。
空を見上げるとそこにも、月。
「・・・・ほんとだ。」
凪いだ水面は、鏡のように月を映してる。
月が映るところまで歩いてゆけそうだ。
僕は何だか不思議な気持ちになって、水面の月をじっと見つめた。
何でもないようなことだけれど、僕は無性にその二つの月に
引き寄せられてしまった。
どっちが本物の月なのか、解らなくなる。
そういえば、どうしてカヲル君はこんなこと知ってるんだろう。
「ねえ、カヲル君・・・・・」
僕はカヲル君を振り返った。
「・・・・・カヲル君?」
返事が無い。
足元には僕の影だけが落ちている。
カヲル君、何処にいったんだろう?
振り向いたそこには、カヲル君の姿はなく、僕一人が佇んでいた。
急に僕は不安になる。
僕は初めから一人だった?
カヲル君は、本当にいた?
辺りを見回し、僕はカヲル君の姿を求めた。
「カヲル君・・・・・何処?」
返事は返らない。
目に映る範囲には、カヲル君はいない。
「ねえ、カヲル君?」
僕は池を離れ、カヲル君を探す。
池の月はその場に留まり、空の月は僕を追う。
何度かカヲル君の名前を呼び、途方に暮れたころ
不意に後ろから抱きつかれた。
「うわ・・・・!」
相手は誰だかわかっていたけれど、急なことだったので
僕はバランスを崩し、地面に倒れた。
一瞬息が止まってしまった。
二人分の衝撃で、転がった僕は直には起き上がれない。
「・・・・・・・・っ・・・・」
顔を顰めて芝の上に転がる僕を、カヲル君が心配そうに覗き込む。
「大丈夫、シンジ君?」
「・・・・・・た、ぶん、」
「ごめん、ちょっと驚かすつもりだったんだけど・・・・・」
「酷いよ、カヲル君、」
僕が少しだけ腹を立ててそう言うと、僅かにカヲル君が顔を曇らせた。
「怒ったのかい?」
「・・・・・・別に、」
僕は何だかカヲル君を困らせたくて、わざと意地悪な言い方をしてみる。
ぷいっと、カヲル君から視線を逸らし、そっぽを向いた。
地面が冷たいなぁ、と何となく感じながら。
暫くそうしていたけれど、カヲル君は何も言わなかった。
少し意地悪をしすぎたかな、と思ってちらりとカヲル君の
方に視線を向けてみる。
どきん
僕の心臓が小さく跳ねた。
カヲル君はじっと僕の事を見ている。
その、スター・ルビィの様な瞳で。
月色に光る、カヲル君の髪。
何、どうして黙ってるの?
何で、そんなに僕を見るのさ?
僕が上半身を起こそうとしたら、カヲル君は肩に手を掛けて
それを制した。
カヲル君の顔が近づく。
重なる口唇。
カヲル君の口唇は冷たい。
カヲル君の息遣いを間近に感じて、僕は目を閉じた。
「・・・・・え・・・・ちょ、ちょっと、カヲル君・・・・・!」
僕は慌てて体を起こそうとする。
カヲル君が僕のズボンの中に手を滑らせてきたからだ。
けれどカヲル君に覆い被さられ、その動きを止められた。
「やっ・・・・やめてよ・・・・・!」
カヲル君は黙ったまま、何を考えているのか分からない様な表情で
僕を見下ろしている。
僕は戸惑いを覚えながら、カヲル君の顔を見詰めた。
そうしている間にも、カヲル君は下着の中に侵入を果たし、
僕に直接触れる。
「あっ・・・・!」
カヲル君の手の冷たさに、僕の体は震える。
「冷たいよっ!・・・いやだっ、放してよ!」
僕はカヲル君の下でもがいたけれど、カヲル君を押しのけることは
かわなかった。
華奢に見えるカヲル君の何処に、こんな強さが在るんだろう。
僕とそれ程差があるとは思えないのに。
僕はすっかり観念して、無駄に暴れることをやめた。
初めから分かっていることだけど、僕はカヲル君にはかなわない。
静かで穏やかなカヲル君には、何処か絶対的なものが在って
僕なんかでは、到底太刀打ちできないんだ。
カヲル君は僕の下半身への愛撫を続けながら、今度はコートの
ボタンに手を掛けた。
「・・・・・寒い・・・・よ・・・、カ・・・ヲル君・・・・」
「すぐに熱くなるよ・・・・・・」
カヲル君はそう言って、空いている方の手をセーターの中に
差し入れてきた。
やっぱりカヲル君の手は冷たくて、僕は震えてしまった。
「・・・・・ううっ・・・・・」
カヲル君に与えられる感覚に、僕の息は次第に上がり始める。
こんな処でこんなことを為ていて、誰かに見られたどうしよう。
そんな考えが脳裏を過ったけれど、もう僕にはどうしようもなかった。
自分ではどうにも出来ない。
今の僕は、カヲル君に支配されているから。
でも、嫌じゃない。
カヲル君の銀の髪が、目の前で揺れている。
カヲル君は僕に何度もキスをした。
「あっ・・・・はぁ・・・・・・!」
僕はあっさりと自分を解放する。
痺れにも似ている感覚。
そして、僕は次にやって来る新たな快感を待ち望む。
カヲル君がゆっくりと体を動かした。
「あうっ・・・あっああ・・・カヲル・・・・・君・・・・・!」
僕はカヲル君を受け入れ、その肩にしがみつく。
カヲル君を許しているそこが、熱い。
月が見える。
青白く月が光っている。
「カヲ・・・・・ル君、つ、月が・・・・あ・・・はっ」
「何・・・・シンジ君・・・・?」
「月が・・・・見・・・てる・・・・」
僕がそう言うと、カヲル君は僕を喘がせるその動きを
止めないままに夜天を仰いだ。
「・・・・・・大丈夫・・・・だよ・・・シンジ君
月は僕たちを裁きはしない・・・・さ・・・・」
裁く・・・・・?
そうか、僕たちはいけないことをしているんだ。
これは、この行為はいけないことなんだ。
でも・・・・
僕はもう何も考えられない。
月が僕たちを見ている。
END
話も変だが、冬の寒空の下あ〜んなことをするやつぁ〜いねぇっつ〜の(^^;;)
凍死したらど〜するざんしょ(@@)
よい大人はまねしてはいけません!だから、しね〜っつ〜の!
ま、シンジラブラブ・スペシャルだからさ・・・・・・・
笑って許して下さい(^^;)
でも、こんな企画がまだまだ続く12月の長い夜〜
うひ〜!ついてきてくれる人がはたしているのだろうか?いや、いない・・・・・(;;)
でも、私はやるのだ!
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